「…リュウっ…」



ユイの足は勝手に神社の中に進んで行く。



そして、さっきまで二人がいた石段の前に立つと。



「……っく」



あれ…?



なんでだろ?



なんで、涙が出てくるの?



と、そこに。



「愛原っ!?」



ユイがハッとして振り向くと、
少し慌てた様子のハルキが走って来た。



「はぁー…良かった…どこに行ったのかと思った、なんで神社…」



ハルキはそう言いかけて、ユイの顔を見て止まる。



「……ごめんね?」



ユイは慌てて涙を拭う。



ハルキはそっと、ユイに近づいた。



「…なにか、あった?」



ユイは無言で首を振る。



「さっき…リュウと、新木見かけたよ…」



「……っ」



「声はかけなかったけど…もしかして、愛原…」


ハルキはそう言いかけて、言葉に詰まる。



それは拭ったはずのユイの頬に、
また涙が流れていたから…。