「アイツには、新木がいるよ…?」
「…分かってる、バカ…だよね?」
「いや…好きな気持ちは…どうしようもないよな?」
「園田くん…」
「俺も同じだから…」
「……っ」
「今日は、これだけ伝えたかったんだ…」
「うん…」
そしてハルキは自転車にまたがる。
「また…来てもいいか?…夏風に」
「もちろんっ」
「じゃぁ、また」
「また…」
二人は軽く手を振り、ハルキは帰って行く。
ユイは家に入り、夏風を窓から入れながらボーッとした。
「まさか…園田くんに、あんなこと言われるなんて…」
でも、私は…。
しばらく、ユイの部屋に風鈴の音だけが響いていた。