「…サクラちゃんも?」
「あぁ、その日は塾休みなんだっ」
「…そう?」
「だからユイもマリカちゃん呼べよ?」
「うん…そだね?」
ユイが少し戸惑う中、リュウが口を開く。
「俺さ、本当ガキの頃から野球ばっかだったから…こういう思い出欲しかったんだよね?」
「……っ」
ユイはリュウのうつむく瞳を見る。
ズルイ…ずるいよ。
その瞳…断れないじゃない。
「……分かった、マリカに聞いてみるよ?」
「ホントか!?よっしゃー!やったぜっ」
リュウはそう言っていつものように、二カッと笑った。
その笑顔も…ズルイ。
なにもかも、ずるく思えてしまうのは、
やっぱり…リュウには、サクラちゃんがいるから?
私って…バカ?
そう思ってユイは、ゆっくりご飯を食べた。