「よしっ、帰ろうぜ?」
「あっ…うん」
ユイがそう答えて立ち上がった時、
リュウの携帯が鳴る。
リュウは携帯画面を見て、少し慌てだした。
「あっ…悪いっ、やっぱ俺先に行くわっ」
「えっ…うん?」
「じゃぁ、またなっ?」
「また…」
リュウはユイに手を振ると、電話に出ながら走って自転車を取りに行った。
ユイはリュウの後ろ姿を見送る。
……彼女だ。
あんなに…急ぐんだ?
なんでだろう?
胸の奥が痛い。
瀬川の笑顔の裏に、あんな理由があったなんて…。
それに、彼女の元へ走る瀬川の後ろ姿を見るとなんだか、つらい。
私…。
もしかして、瀬川のこと気にしてる?