その日のバイトが終わると、帰ろうとしていたユイはある事に気づく。
「…あれ?瀬川の自転車…まだある、先に帰ったはずじゃ?」
ユイが辺りを見渡すと、もう暗くなってる浜辺に人影が見えた。
「瀬川…?」
「…おぅ?愛原、お疲れっ」
「お疲れ…って、どうしたの?帰らないの?」
「あー…ちょっと海見たくなった、いつも見てるけど、昼間は騒がしいから静かな海見たくなって」
「…そう?でももう暗くて、ほとんど見えないけどね?」
「ははっ、ホントだな?」
そう言って笑うリュウの隣に、
ユイは少し間をあけて座る。
「どうした…?愛原…」
「……別に」
なんでー?
少し、ほっとけない顔してた…。
ザザンッ…と、波音が二人の前に響く。
「今日の…なんだったの?」
「えっ…?」
「野球部の人達、瀬川のこと勧誘してたの?」
「あー…うん、まぁ」
「……入らないの?」
こないだ、グラウンド見てたじゃん…?