「おまえ…ユイを取られてもいーのか?」



「えっ…?…俺は…」



「駅前の公園って言ってた、今ならまだ多分…」



「………分かった!」



リュウは手にぎゅっと力を入れて、
ハルキに背中を向けて走り出そうとする。



「リュウっ!」



ハルキの呼び止めに、リュウは一旦ハルキに振り返る。



「ちゃんと止めろよっ、今度こそ…」



「あぁ!サンキュ、ハルキっ」



リュウはそう言うと、全力で走って行った。



「早いな…相変わらず、ホントにちゃんと止めろよな…リュウ」



一人佇むハルキの影が、校舎前に伸びる。