しかし、いざ開店すると二人はユイの両親の指示通り、テキパキと動いてくれていた。
中でもリュウは、あの笑顔で女性客を喜ばせるほど…。
二人を見て、ユイの口角が引きつる。
「なんなのこれ…私の仕事が減っていく…」
ユイは厨房の中に入り、母の隣で洗い物をしだす。
「良かったわね?ユイ、いい二人がバイトに来てくれてっ」
「……そうね」
「なにムスッとしてるのよ?ユイ」
「別にしてないよっ」
「とにかく、お店助かってるんだから、仲良くね?」
「仲良く…ね?」
ー…。
そして、その日の閉店時刻。
厨房から、ユイの父親がリュウ達に声をかける。
「瀬川くんと、片平くん、もう上がっていいよー?」
「あっ、はーい」
「明日もヨロシクねー?」
「はいっ、お疲れ様でーす!」
二人はエプロンを外して、自転車の置いてある裏口へ向かった。