カタカタと音が響く中、二人は携帯画面だけを照らし黙っていた。
するとユイに不安の色が映り、少し手が震えてしまう。
そんなユイに、リュウが気づく。
「…どうした?ユイっ」
「えっ!?なんでも…」
「おまえまさか…暗がりがダメとか?」
「……っ!!」
ユイの肩がピクッと動く。
「ぷっ…マジ?ユイにもそんな所あったんだ?」
「失礼ね!だから…小さい頃にもそんなことがあったから、停電には…弱いのよっ」
「あー…いや、悪い」
「………。」
なにしてんの?私…。
リュウと二人な上に、停電だなんて…。
きっと、ついてないんだなぁ。
その時、膝に置いたユイの手に、ぬくもりが伝わってくる。
「……えっ……」
ユイの左手の上には、リュウの右手が添えられていた。
驚いたユイがリュウを見ると…。
「これで……少しはマシだろ?」
リュウはそう言うと、ユイから視線をそらす。
「リュウ…ありがとう…」
嬉しいのに。
胸が苦しいのは…。
リュウには、サクラちゃんがいるから。
私のことは、眼中にないから。
どうしよう…。
安心したいのに、胸がズキンッと鳴るよ。