ユイはチラッと隣のリュウの様子を伺う。



リュウ、少し困った顔してる…。



「ごめん…リュウ」



「えっ…?」



「マリカは時々あんなだから…」



たぶん…私の為。



「あー…うん、そんな感じだな?」



「リュウも帰りたかったら、いーよ?」



「…はっ?」



「私は別に一人でも大丈夫だから…」



ユイはそう言ってリビングに戻ろうとする。



するとリュウはユイの手を掴む。



「待って、ユイっ」



「……っ!」



「俺は…帰らないよ?おじさんとおばさんと約束したし、それに…ユイも一応女なんだから、一人だと不用心だろ?」



「…リュウ…」



「なっ?」



リュウは手を離し、ニカッといつものように笑った。



その笑顔に、ユイは思わずキュン…としてしまう。



そして、ゆっくりとうなづいた。



「…うん」



「よしっ、じゃぁ風呂の準備でもするか?片付けは終わったか?」



「うん…でもさリュウ、一応って失礼っ」



「えっ?あははっ、悪いっ」



そう言ってまた笑ったリュウの顔を、ユイは見つめる。



リュウの笑顔はずるい…。



嫌いになんて…なれない。