「あれ…瀬川?」
「あっ…ホントですわ」
すると、リュウが二人に気づいてニコッと手を振ってくる。
「おーい愛原っ、明日からヨロシクなー?」
「……なっ!」
大声で言ってきたリュウに、ユイは恥ずかしくなり、リュウを無視して歩き出した。
そんなユイの姿にリュウは首を傾げる。
「あら、可哀想に…無視されましたわ瀬川くん」
「あのねっ、別にそんなんじゃ…声でかいし…」
「恥ずかしかったんですの?」
「そんなんじゃないって」
「そんなムキにならなくてもいいのにー」
「なってない!」
カキーンと音が響き、ユイがもう一度グラウンドを振り向くと、もうリュウの姿はなかった。
「っていうか、なんで瀬川が野球部見てたの?」
「さぁー?お友達の園田くんがいらっしゃるからでは?」
「あー…そっか?」
友達がいたから、見てたの?
一人で…? 変なヤツ…。