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「こんにちは。いらっしゃい。拓馬くん、しばらく見ない間に男前になったわね」


その日の放課後、揃って家に帰ってきた俺達をカオルさんが笑顔で出迎えてくれた。

カオルさんの言葉に、拓馬がほんのり顔を赤くして鼻の下を伸ばしている。

カオルさんは俺の初恋の人だった。

だけど、幼い頃から俺の家をよく出入りしていた拓馬にとってもカオルさんは憧れの人であったことに違いない。

いくつになってもカオルさんは綺麗だ。


「お姉ちゃん、こんな美人やイケメンの友達がいるのに、何で早くあたしに紹介してくれなかったのよ」

カオルさんの隣で俺達を出迎えた春陽がからかうように奏葉を小突く。

奏葉は出迎えてくれたカオルさんと春陽に一瞥を投げ、さっさと階段を上がりながら突き放すように答えた。


「友達は茉那だけだから」


奏葉の言葉で、玄関の空気が一瞬にして凍りつく。