「茉那。どうか――……」
「一緒に学校に来たんじゃなくて、こいつが勝手に私の後ろをついてくるのよ!」
どうかしたのか?
茉那に尋ねようとしたとき、奏葉が俺の言葉を遮った。
奏葉が俺を見上げながらしかめっ面をする。
「私は迷惑してる」
奏葉のその口調には、誰が聞いても分かるくらいの敵意が込められていた。
「奏葉。そこまで言わなくても……」
敵意を込もった奏葉の目を見て、茉那が苦笑交じりに言う。
その茉那の声はいつものトーンに戻っていた。
何かあったのかもしれない。一瞬そんなふうに思ったけど……
俺の思い過ごしだったのかもしれない、と安堵する。