四年前。
中学一年生のときにママが死んだ。
ガンだった。
ママは私と春陽が小さいときから入退院を繰り返していて、家で一緒に過ごせる時間はとても少なかった。
それでも春陽より四歳年上の私は、彼女よりもママと過ごした思い出が多い。
入院していることが多かったけど、家にいて体調のいいときはよく私を公園まで遊びに連れて行ってくれた。
優しいママだった。
ママが死んで四年たった今でも、私はママを忘れられない。
私のママは、ママだけだ。
それなのに、父も春陽もママのことなんてすっかり忘れてしまったのか、二年前突然やってきたあの女を何の躊躇いもなく“おかあさん”と呼ぶ。