私はブランコをこぐのをやめると空を仰いだ。

空にはところどころにぼんやりとした灰色の雲がかかっていた。

さっきまで月が見えていたような気がするが、今はもう雲に覆われ隠されてしまっている。


私が座っている位置からは、ブランコを照らす街灯の光が明るすぎて星もよく見えない。


私はポケットからスマホを取り出すと、そこにストラップ代わりにつけている鎖状のチェーンに星のモチーフがついたキーホルダーを空に翳した。


もう古くて少し色褪せかけているキーホルダーの星は、それでも街灯の光でキラリと少し輝いた。



これは、ママの星だ――……



空に翳したキーホルダーの星を見上げながら、強くそう思う。