いつも元気な佐伯さんの笑顔を見ると、私の口元にも自然と笑みが浮かぶ。


しばらく待っていると、佐伯さんが注文した料理が運んできてくれた。


「サラダはおまけ。ちゃんと栄養摂らないとダメだよ」

佐伯さんが説教めいた口調でそう言って、私の前に料理を置いていく。


「ありがとうございます」

私は佐伯さんに笑顔を返すと、手を合わせてから料理に口をつけた。


佐伯さんは、毎週土日にこのファミレスを訪れる私に何も言わない。

ただいつも話しかけてくれ、あまり注文をしない私のために何か一つおまけをつけてくれる。

その優しさにいつも感謝していた。


料理を口に運びながら辺りを見回すと、席はほとんど小さな子どもを連れた家族で埋め尽くされていた。

父親と母親の間に挟まれて、にこにこしている子ども。

キライな食べ物を前に、両親に駄々をこめている子ども。

隣同士に座った席で、きょうだい喧嘩をしている子ども。


例え内に小さないさかいを秘めていたとしても、私の目に映る家族の光景は温かい。