そして周りに誰もいないのを確認すると、私のほうから真宏の唇にそっと自分の唇を重ね合わせた。
光の当るテラスで交わしたそれは、私から彼への誓いのキス。
「しないよ。心変わりなんて」
唇だけを離したその距離でささやくと、私を見つめる真宏の顔がくしゃりと歪む。
「そわ……」
消え入りそうなくらいせつなげな声で私を呼んだかと思うと、真宏が私の頭を手のひらで包むようにつかまえる。
その次の瞬間、瞬きをする余裕すら与えないほどの勢いで、真宏が私の唇を塞いだ。
重なる熱い唇に、頭の芯まで逆上せて溶けそうになる。
いつこのテラスに誰か人が出てくるかもわからないのに、ときどきすごく感情的になる真宏のキスはなかなか止まらなくて。
その背中に腕を回しながら、そんな真宏のことをとても愛おしいと思った。