「健やかなるときも、病めるときも、この男性を愛し、助け、生涯変わらず愛し続けることを誓いますか」
「はい、誓います」
穏やかな牧師の声に続き、小さく控えめな、けれど芯の強い誓いの言葉がチャペルに響き渡る。
ステンドグラスから差し込む光の溢れる祭壇で、今誓いのキスを交わすのはパパと薫さん。
二人が参列者の方を見て幸せそうに微笑んだとき、私たちは歓喜の渦に包まれた。
幸せそうなパパと薫さんの姿を、きっとママも祝福していると思う。
挙式が終わり披露宴が始まるまでの間、ぼんやりとテラスで空を見上げていると、真宏が私の隣に来て座った。
「綺麗だったな。カオルさん」
スーツに身を包んだ真宏が、私に声を掛ける。
「薫さんがあんたのお嫁さんじゃなくて、残念だったね」
彼女のことをかつて好きだった真宏に皮肉を言うと、彼が私を睨んだ。
「何でそういう話になるんだよ。ていうかお前、いつまでカオルさんのことそういう呼び方すんの?」
からかったつもりが逆に痛いところをつかれて口を閉ざす。