「は?ちが――……」
「やっぱり、あんたの言葉なんて信じなくて良かった」
俺の言葉を遮った奏葉がなぜか泣きそうな顔をする。
奏葉が泣きそうな顔をするから、俺は焦って彼女の腕を掴んだ。
「違う。見舞いに行かなかったのは、俺の顔を見たらそわが事故のこと思い出して嫌な思いをするかもしれないと思ったから……本当はそわの顔を見たくて、心配で仕方なかったけどずっと我慢してた。今日だって、来ない方がいいかもって散々悩んで、でもやっぱり元気になったそわの顔見たくて、学校行くの途中でやめてこっち来た」
奏葉が泣きそうな顔をしたまま俺を見上げる。
「だから、信じなくて良かったなんて言うなよ。俺は今この瞬間だってずっと、そわのことが好きなのに」
奏葉に想いを伝えながら、俺の方が何だか泣きそうになる。
奏葉に会ったら、もっとちゃんと言いたいことがあったはずなのに。
彼女を前にすると、いつもうまく言葉にならない。