「どこまで行く気?」

奏葉に声をかけられてようやく立ち止まる。

振り返ると、奏葉は少し吊りあがった大きな目で俺のことを睨むように見上げていた。


「あぁ、ごめん……」

俺は反射的に謝ると、奏葉と繋いでいた手を離した。

手が離れた瞬間、奏葉がほんの少し淋しそうな顔をしたような気がした。

でも、そう思ったのはほんの一瞬だけで……

きっと俺の勘違いに違いないのだけれど。


「どうして一度もお見舞いに来なかったの?」

睨むように俺を見上げながら、奏葉が不機嫌な声を出す。


「それは……そわが事故に遭ったのは俺にも責任があるし……」

ぼそぼそと言い訳していると、奏葉がわざとらしいほど大きなため息をついた。


「あっそ。そんな言い訳して、本当は大して心配なんてしてなかったんでしょ。あれだけ私のこと好きだとか言っといて、本当はそうでもなかったんだ」