父達と共に病室を出て病院のロビーに降りると、その待合の椅子に制服姿の真宏が腰掛けていた。
真宏が私たちに気づくよりも先に彼の存在に気づいてしまった私は、思わずドキリとしてひとり足を止める。
真宏は私が入院している間、結局一度もお見舞いに来なかった。
一度だけお見舞いに来てくれた茉那と拓馬に因ると、私が事故に遭ったことにかなり責任を感じているらしかった。
自分が私をしっかりと引き止めていれば……と、そんなふうに悔やんで私のお見舞いに行きづらいと思っていたらしい。
相変わらずおせっかいだ。
さすが、お人よしのあの女の親戚なだけある。
本当に責任を感じているならば、一度くらい見舞いに来ればいい。
私のことを好きだと言ったくせに。
その言葉が信じられないなら何度でも好きだと言うと告白してきたくせに。
入院中に何度かそう思って苛立った私は、本当は彼の顔が見たかったのかもしれない。