「奏葉、ありがとう。空から見守ってくれているママも、奏葉と同じように祝福してくれるかな?」
父のその言葉にはっとする。
父はあの女がそばにいる今でも、ちゃんとママのことを想っているんだ……
父の言葉で、そのことに気づかされる。
だから私は、父にそっと微笑み返した。
「大丈夫。ママも、空からパパの幸せをずっと見守ってくれているよ」
優しかったママは、私達家族がバラバラになることじゃなく、私たちが幸せであることを一番に祈ってくれているはず……
「そうだな」
父がそうつぶやいて、窓の外に広がる空を見上げる。
私も父につられて、晴れた昼間の空に目を向けた。
空には太陽が輝き、まだ星の見える時間帯ではないけれど、空の向こうにママの優しい笑顔が見えたような気がした。