「丸三日も意識がなかったんだ。真宏くんがすぐに救急車を呼んでくれなかったらどうなってたか……」
真っ赤な目をして私を叱りつける父を見上げていると、頬にぽたりと温かいものが落ちてきた。
痛む腕をゆっくりと動かして、手の平で頬に触れる。
そこにまた温かいものがぽたぽたと落ちてくる。
不思議に思って顔をあげると、赤く腫れた父の目から涙の雫がいくつも零れ落ちていた。
涙が落ちないようにぎゅっと口を固く引き結ぶ父だったが、それは少しも効果がなく、いくつもいくつも涙の雫が私の頬に落ちてくる。
「死ぬほど、心配したんだ……」
搾り出すように言う父の声は、少し震えていた。
「子ども達は俺がずっと守るとあいつに約束したのに……俺は妻だけではなく娘も失ってしまうのかと思うと、胸が押しつぶされそうだった……」
父は苦し気な声でそう言うと、まだ力の入らない私の身体を起こして優しく抱きしめた。