白い天井、白い壁、白いベッド。
ここは病院……?
ゆっくりと首を動かしてあたりを見回していると、だんだんと意識がはっきりとしてくる。
私は父と喧嘩をして家を飛び出したんだ。
それを追ってきてくれた真宏とちょっと言い合いになって、彼から逃げるために大通りに飛び出して。
それから……
「奏葉!」
真っ白な天井を見上げてぼんやりと寝転んでいると、騒々しく病室のドアが開いた。
いつになく取り乱した表情の父が、ドアを開くなりベッドのそばに駆け寄ってくる。
「パパ……」
ぼんやりとした声で呼びかけると、父はベッドに横たわる私の手を痛い程に強く握った。
「奏葉!お前一体何をやってるんだ!!勝手に家を飛び出して、こんなことになって……」
赤く目を腫らした父が、ぎゅうぎゅうと私の手を握りながら声を荒げる。
そうか。喧嘩をして家を飛び出したから、まだ怒っているんだ……
そう思って、ぼんやりと父の顔を見つめる。