目の前には真っ暗な闇がどこまでも続いていた。

立っているのか歩いているのか、地に足がついている感覚がほとんどない。

そういう状態で、私は暗闇の中をふわふわとただひとりで彷徨っていた。


頭がぼんやりとして、思考回路がうまく回らない。

何かを考えることは気怠くてとても面倒くさい。


全てのことを放棄して闇の中をふわふわと漂いながら、この闇は月も星も見えない真っ暗な夜の空みたいだとぼんやりと思った。

私を導いてくれるママの星はどこにもない。


ママの星……

ぼんやりとする頭の中で、今はその意味すらあやふやだった。

そのうち、闇の中を漂うことにも疲れて目を閉じる。

瞼の裏には、やっぱり真っ暗な闇がどこまでも広がっていた。


このまま、眠ってしまおうか。

どうせどこまで行っても暗闇の世界なのだから。


「……わ」

そんなふうに思ったとき、遠くで誰かに呼ばれたような気がした。