「そわ!」
奏葉を追いかけようと体勢を立て直したとき、彼女が飛び出した大通りで車のライトが眩ゆく光る。
光に気付いた奏葉が足を止めて、金縛りにあったように立ち尽くす。
それと同時に軋むような車のブレーキ音が大通りに響き渡る。
全てがスローモーションのように見えたけれど、一瞬の出来事だった。
奏葉を追いかけようとしていた俺の目の前で、彼女の身体と彼女が手にしていたボストンバッグがゆっくりと宙を舞い、
そして、
落ちた――……
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