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玄関を出た俺は、まず真っ直ぐに奏葉が母親とよく行ったという公園の方に駆け出した。

公園に着くと、思ったとおり、小さな公園を煌々と照らす街灯のすぐ下にあるブランコに奏葉らしき細い人影が一つあった。

ブランコに座って空を見上げている奏葉に、真っ直ぐに近づいていく。


俺が近づいていくと、そのことに気がついた奏葉が慌てたようにブランコから立ち上がった。

地面に置いたボストンバッグを持ち上げると、俺を避けるように大きく回って公園の外へと駆け出していく。


「そわ!待てよ!!」

俺を避けるように逃げ出した奏葉を慌てて追いかけた。

公園を出て、道が大きな通りへと繋がるところでようやく奏葉に追いつき彼女の腕を掴む。


「待てって」

俺に腕を掴まれた奏葉は、ピタリと足を止めた。


「離して」

俺に背を向ける奏葉の声が掠れる。

けれど奏葉はそう言いながらも、俺の腕を振り払おうとはしなかった。