俺はカオルさんと祐吾さんの顔を交互に見ると、スニーカーを履いた。
「俺が探してきます。そわも今、興奮してると思うし……俺が話して、連れて帰ってきますから」
そんなことを言っておいて、奏葉を連れ帰って来れる自信があったわけでもない。
だけど、ひとりで飛び出して行った奏葉のことが心配だった。
意地っ張りな彼女は、一度出て行ったらきっと自分からはここに戻って来れない。
俺の言葉を聞いたカオルさんと祐吾さんは無言で顔を見合わせた。
「パパ、おかあさん。まぁ君に任せたら?」
不安そうに顔を合わせているカオルさんと祐吾さんに、春陽が声を掛ける。
祐吾さんはしばらく悩んだあと、俺の方を向いて深々と頭をさげた。
「申し訳ないが、お願いしても構わないかな……」
「はい」
俺は頷くと、飛び出していった奏葉を追いかけて玄関を出た。