「『ママは空の星になって私たちのことを空から見守ってくれる』って言ってたパパが、ママを忘れて再婚したこともやっぱり許せない。ママが空から見てるなら、パパの裏切りを知ってきっと空の上で泣いてるよ」

父は私を無言で見つめ、何も言わなかった。

だから私は、最後にとどめの言葉を父に向かって突き立てる。


「それに本当はパパ達だって、私がいなくなればいいのにって思ってるでしょ?私がパパとあの女と春陽の三人の仲を邪魔してるって……」


そのとき、バンっともの凄い音が響き渡り、私の頬に衝撃が走った。

突然のことに驚き、声が出ない。

目の前が一瞬真っ白になる。


ようやく目の前に色が戻って来たとき、頬に激しい痛みを感じた。

両手の平で押さえると、そこは痛みと併せて熱を伴っていた。


「祐吾さん!」

あの女の声がして顔を上げると、父が手の平を振り上げた格好で青い顔をしながら唇を震わせていた。

それで私は、この痛みが父に平手打ちされたことによるものなのだと理解する。