「何がおかしい?この家を出て行って、一体どうするつもりなんだ?父親や母親とまともに話もできないやつが、一人で社会に出て行けるとでも思ってるのか?」

尤もらしい言葉で怒鳴ってくる父を、私は冷めた目で見上げた。


「さぁ?やっていくことなんてできないかもね」

「それがわかっていてどうして……せっかく頑張って、進学校に入ったんだろう?」


そう。頑張って進学校に入ったんだ。

高校に合格したとき、父はとても喜んでくれたっけ。


そのときのことを思い出す。

だけど、頑張ったのは父のためでも世間体のためでもない。

私は小さく鼻で笑うと、睨むように父を見上げた。


「頑張ってあの高校に入ったのは、ママのためだよ」

私の言葉を聞いた父の瞳が揺れる。


そう、全部ママのため。

ママが亡くなる前「青風高校を目指したい」と私が言うと、ママはとても喜んで柔らかな笑顔を浮かべて私の頭を何度も撫でてくれた。