「祐吾さん、奏葉ちゃんの担任の先生から。奏葉ちゃんの進路のことでお話があったんだけど、少し換わってもらえる?」

「奏葉の?」

カオルさんの言葉に、祐吾さんが怪訝そうに眉を顰める。

カオルさんはそれに答えるように頷くと、受話器を祐吾さんの方に差し出した。


「奏葉ちゃん、大学に行かずに就職するって言ってるんですって。進学校だし、奏葉ちゃんは比較的学校の成績もいいし、ちゃんとお話されましたかって先生が……」

カオルさんの言葉を聞いた祐吾さんの頬がほんの少し引き攣る。


「わかった、換わろう」

祐吾さんは低い声でそう言って立ち上がるとカオルさんに換わって電話に出た。


「進路……?」

それで、放課後、奏葉のクラスの担任が俺に声を掛けてきた理由がわかった。


「まぁ君、何か知ってるの?」

カオルさんが心配そうな顔で俺を見てくる。

俺がゆっくりと首を横に振ると、カオルさんは悲しそうな顔をして、「そう」と短くつぶやいた。