「月島と家で進路の話をすることはあるか?」
「進路?いえ……」
俺が答えると、奏葉のクラス担任は困惑した表情で頭を掻いた。
「そうか。話してないか……」
「先生?あいつ、何かあったんですか?」
尋ねると、彼は少し考えるような表情を浮かべてから笑って首を振った。
「いや、なんでもないんだ。引き止めて悪かったな」
奏葉のクラス担任の言葉に、俺は拓馬と顔を合わせて不思議そうに首を傾げた。
「奏葉ちゃん、何かあったのかな?進路指導室から出てきたときの先生の様子、ちょっと変だったよな」
「あぁ、そうだな」
「奏葉ちゃんも進路迷ってるんかな?」
「さぁ、どうだろうな」
俺と拓馬がそんな会話を交わしながら帰宅したその日。
奏葉以外の家族で食卓を囲む夕飯時に、月島家に一本の電話が鳴った。