担任は眉根を寄せて頭を掻いたあと、机の上で手の平を組み私をじっと見つめた。


「蒔田から天文学が勉強できる大学のパンフレット貰ったんだろう?天文部の顧問の先生から、月島が天文学に興味があるらしいということを聞いたんだが……月島、本当は大学に行って天文学をやりたいんじゃないのか?」


心を見透かそうとじっと見てくる担任の目を、私は真っ直ぐに見返した。

そして、できるだけ声に感情が出ないように低い声で答える。


「いいえ。前に少し興味を持ってましたが、今は特に」

私の回答に、担任がため息をつく。


「じゃぁ、高校卒業したあとはどうするつもりなんだ?就職するのか?」

「はい。仕事は探そうと思ってます」

「だけどお前の場合、普段も真面目に頑張ってて成績もいいし。勿体無いだろ?」

「でも、進学校に通っているからって必ず大学に行かなきゃ行けないってわけじゃないですよね?」

「あぁ、まぁそうだが……」

担任が言葉を濁す。