「俺、月島さんのこと好きなんだ」

「え……」


一瞬、思考回路が止まる。


蒔田が、私を好き――？


目を瞠り、蒔田を見上げる。

驚く私の顔を見て、蒔田は困ったように頭を掻いた。


「月島さんとよく話すようになって、気付いたら気になり始めてた。月島さんは、誰か好きな人とかいるのかな？」


蒔田の言葉に、私はただ驚くばかりだった。

蒔田の醸し出す柔らかい空気は心地よくて、話しやすい雰囲気がある。

だけど彼を恋愛対象として意識したことはなかったし、彼からそういう風に意識されるとも思っていなかった。


「もし月島さんがよければ、俺と付き合ってくれないかな」

困ったように笑っていた蒔田の表情が、そう言った瞬間真剣なものに変わる。

真宏から受けた自分の感情の全てをぶつけてくるような告白と違い、蒔田の告白は穏やかで彼が自分に抱いてくれた気持ち自体は嬉しいと、素直にそう思えた。

だから『永遠に好きでいられる』なんて、真宏に返したような意地悪な返事はできない。