「あと一年は同じ家に住むんだろ?奏葉ちゃんのこと強引にでも押し倒してでもお前の想いが本物だってことを伝えれば……」
拓馬が悪いことをたくらんでいる顔をして、ぶつぶつと独り言をつぶやく。
それを聞いて、俺は一人で顔を赤くした。
「それならもう、夏休みに……」
「は!?もう押し倒したのかよ?」
拓馬の声が教室中に大きく響き渡り、クラスメイトの大半の視線が俺たちの方に集中した。
クラスメイト達の好奇の目にさらされて、俺はますます顔を赤くしながら拓馬の口を塞ぐ。
「お前、声デカすぎ!!」
「ふが……おふぁへがへんふぁふぉと……」
口を塞がれた拓馬が、必死で喚く。
口を塞いでいた手を離すと、拓馬が息苦しそうに咳き込んだ。
「何すんだよ!?お前が突然変なこと言い出すからだろ!」
何度も咳き込む拓馬を、俺は罰の悪い顔で見つめる。