「そわの場合、カオルさんと祐吾さんのことがあるからな。未だに、死んだ母親に対してもすごく執着があるし……」
「だからって、奏葉ちゃんキツすぎ……」
俺はぼやくように言った拓馬の言葉に苦笑いした。
確かにキツい……
奏葉から直球でその言葉を受けた俺が、一番そう思っている。
「真宏はこれで終わりでいいのかよ」
苦笑いを浮かべる俺を、拓馬が心配そうに見つめた。
「いいって言うか……」
いいも何も……
どうすればいいのかが俺にはわからない。
ただ分かっているのは、今もずっと奏葉のことが好き――……
その想いだけだった。
奏葉の言うとおり、このまま彼女のことを考えないようにすれば、他に誰か魅力的な女の子が目の前に現れれば、俺のこの想いは移り変わってしまうのかもしれない。
でも、今胸の中に膨らみ続ける想いは、彼女が言ったように簡単に消えるとは思えなかった。