「奏葉、ごめんね……」

「どうして謝るの?」

唇から漏れた声が掠れる。


「え?」

私の声が聞き取れなかったらしい茉那が、小さく首を傾げた。


「どうして謝るの?」

今度はさっきよりはっきりとした声で言う。

だって、茉那は悪くないじゃない。

茉那はただ、純粋に真宏のことが好きだっただけ。


茉那の真宏への想いが、『永遠』だったかどうかはわからないけれど……

その気持ちが純粋で本物だったことは、私にちゃんと伝わってきた。

だから、何も謝る必要なんてない。


「茉那、嘘ついたことを私に謝る必要なんてないよ。そんな嘘、ちっとも気にしてない」

「奏葉……」


本当に?

そう問うかのように、茉那が私を上目遣いで見つめる。

私は口角をすっと引き上げると、茉那に微笑んでみせた。


「本当に気にしてない。だって、茉那があいつと付き合っていようといまいと、私はあいつを好きじゃない」

きっぱりとした声でそう言いながら、私の胸はほんの少しだけ痛かった。