目を閉じる。
瞼を閉じた私の眼窩に広がるのは、星ひとつない真っ暗な闇のような空だった。
「……!」
しばらくの間そうしていると、塞いだ耳に小さな声が届いた。
「……わ!」
誰かが肩を揺さぶる。
目を開けて、耳を塞いでいた手の平をそっと離す。
「奏葉、ちょっといいかな?」
手の平から解放された耳に、ざざっと空気の振動がなだれ込んでくる。
それと同時に耳に届いたのは、小さく遠慮がちな茉那の声だった。
見上げると、目の前に茉那が立っている。
彼女は今にも泣き出しそうな顔をしながら、不安げな瞳で私を見つめていた。
「何?」
少しそっけない声でそう言うと、茉那が怯えたように肩を小さく震わせる。
「ちょっとだけ話したいことがあるんだ。いい?」
茉那が小さな声でそう言いながら、教室の外へと視線を動かした。
「ここじゃ話せない話?」
私の問いかけに茉那が頷く。