私が一人で座っていると、蒔田が何か話しかけてきた。

だけど私は蒔田に二言三言言葉を返しただけで、とても長く会話を続ける気持ちにはなれなかった。

春陽から告げられた言葉を私は胸の中でまだ消化しきれていない。

その上に茉那からも無視をされている状態は正直辛かった。


昼休みになって、来る途中にコンビニで買ったパンの袋をがさごそと開ける。

新発売のそのパンは甘いはずなのに、私の舌は少しも味を感じなかった。

パンを半分ほど齧ったところで、食べるのをやめて袋の中にしまう。


机の上に身体を伏せると、スマホを取り出してそこからぶら下がっている星のキーホルダーを見つめる。

指で弄ぶと、その『ママの星』は淋しそうに鈍く光った。


机の上に伏せた私の耳に、クラスメイト達の話す声がただ騒音のように煩く聞こえる。


静かにさせていてほしいのに……

手の平で耳を塞ぐ。

家にも学校にも居場所がなくなった私は、八方塞りだった。