俺と奏葉の視線が、宙で交差する。
俺の目をしっかりと見据えながら、奏葉はもう一度きっぱりとした声で言った。
「その言葉が永遠でないなら、私はいらない」
奏葉の真っ直ぐな視線が俺を突き刺すように見つめる。
彼女は真剣な眼差しでしばらく俺を見つめたあと、くるりと踵を返した。
「そわ！」
慌てて呼びかけたけれど、彼女は俺の言葉など聞こえていないようにどんどん先へと進んで行く。
「ちょっと待て……」
追いかけようと走りかけて、俺はふと思いとどまった。
永遠でないなら、いらない――……
そう言われてしまった俺が今奏葉を追いかけても、きっと拒絶されるだけだろう。
行き場のない想いを抱えながら、俺は奏葉が先に帰っているはずの家に重い足取りで向かうことしかできなかった。
