「は?何それ?」

奏葉の言葉に驚いてしまい、彼女への返答が数秒遅れてしまう。

そんな俺に、奏葉はさらに驚くことを言ってきた。


「茉那に聞いたよ。あんたと付き合うことになってキスしたって」


奏葉の話に、俺は言葉を失った。


数日前に茉那に告白された。

その拍子に、彼女のほうから突然触れるだけのキスをしてきた。

その部分だけをとるなら、確かに茉那とキスしたって事実はある。

今思い出しただけでも、すごく気まずい。

でも、俺は茉那の告白を断ったしもちろん彼女と付き合ってはいない。

それなのに、何がどうしてそういうことになってるのか。

どうして茉那が奏葉にそんな嘘をついたのか。

それがさっぱりわからない。


奏葉の冷たい視線が、言葉を失ったままの俺に真っ直ぐに突き刺さる。


「茉那のこと好きなくせに他の女にも平気でキスするなんて最低だよね。私みたいなやつでも、女だったら誰でも良かった?もし茉那といい加減な気持ちで付き合ってるなら許さないから」