「そうだ、春陽。真宏くんを部屋に案内してあげなさい。事前に送ってくれた真宏くんの荷物はその部屋に運んであるから」
重苦しくなった空気を換えるように、祐吾さんが明るい声で言った。
「うん、分かった」
それに答えるように、春陽が笑う。
「真宏くんの部屋、二階だからあたしが案内するね」
「ありがとう」
俺は立ち上がると、春陽の後ろを着いて歩いた。
「真宏くん、青風(セイフウ)高校なんだよね?」
リビングを出ると、春陽が振り返る。
「うん」
「うちのお姉ちゃんも青風なんだ」
「へぇ」
カオルさんを悲しませてるヤツは俺と同じ高校なのか。
春陽の話を聞きながら、俺は心の中でそいつに対する闘志を燃やす。
それならどこかで会ってるかもしれないな。