「真宏、あたしと付き合ってくれるって……」
茉那のその言葉を聞いたとき、私の胸に何故か鈍い痛みが走った。
「そ、うなんだ?」
茉那は真宏のことがずっと好きだった。
だから想いが通じたことを祝ってあげなければいけないのに、どうしてか喉の奥がひりひりして『おめでとう』という言葉がうまく声にならない。
「告白したあと、真宏とそこの公園でキスしたの……」
茉那がすぐ傍にある公園を遠慮がちに指差す。
キス……?
恥ずかしそうに、でも嬉しそうに話す茉那の声が私の心を強く揺さぶった。
真宏は茉那と付き合うことになった。
それで二人はキスした。
よかった……
茉那が幸せになって、私は嬉しい。
だけど、激しく心を揺さぶるこのざわめきは何だろう。
私は無意識で、自分の唇を指先で何度も撫でていた。