「別に仲がいいってほどでもないけど……大学の資料をもらったんだ。進路のこととか相談してて」
「へぇ。進路のこととか相談できるなんて、委員長のこと信頼してるんだね。いつからそんなに仲良くなってたの?」
茉那が『仲良く』という言葉をやけに強調する。
「だから、仲がいいわけじゃないって。夏休み前くらいからまぁまぁ話すようになったってだけで……」
「実は付き合ってるとか?」
茉那がからかうような口調で尋ねてくる。
そのせいで、夏休みに蒔田のバイクの後ろに乗ったことや、天文部の天体観測に参加したこと、一緒に映画を見に行ったことなどが駆け足で頭の中を過ぎていった。
思い出すとちょっと恥ずかしくて、耳が熱くなる。
蒔田と付き合ってなんかいないし、仲がいいのかもよくわからない。
けれど、この頃蒔田と一緒いる時間が多かったことは確かだ。