授業が終わりスクールバッグに荷物を詰め込んでいると、茉那が声を掛けてきた。


「奏葉。今日の放課後、時間ある?」

「あるよ。どうかした?」

私はそう答えると、首を傾げた。

朝からずっと気にしつつ何も言えなかったのだが、今日の茉那はどこか元気がなかった。

いつもは私ににこにこと笑顔を見せている茉那が、朝からほとんど笑わない。


「どこかに寄っていく?」

私が尋ねると、茉那は首をゆっくりと横に振った。


「うぅん。一緒に帰るだけでいいの。奏葉に話したいことがあって……」

「そっか」


「月島さん」

スクールバッグを掴んで茉奈の隣に並ぶと、蒔田が大き目の封筒を持って近づいてきた。


「委員長」

蒔田は私の前まで来ると、手にしていた封筒を差し出した。


「これ、よかったら。天文部の顧問の先生が持ってた資料だよ。少し参考になるかも」

蒔田から封筒を受け取り中を覗き込むと、そこには大学のパンフレットが入っていた。


「ありがとう」

お礼を言うと、蒔田がにっこりと笑う。