「そうだよね……」
掠れた声でつぶやいた茉那が、今にも泣き出しそうな顔で微笑んだ。
「ごめん」
俺がもう一度言うと、茉那は小さく首を振る。
そして、ベンチに置いてあったスクールバッグと缶ジュースを手に取った。
「ごめん。あたし、帰るね。ジュースありがとう」
茉那はやっぱり泣き出しそうな顔で笑うと、俺に手を振ってくるりと背を向けた。
それから振り返らずに真っ直ぐに歩いていく。
茉那のその背中は小さく震えていて、彼女が泣いているのがわかった。
だけど、俺には茉那を追いかけられない。
茉那を傷つけた罪悪感で、俺の胸はいつまでもキリキリと痛んだ。