突然の告白にどうすればいいかわからず、きょろきょろと視線を泳がせる。


中三のときから一緒だったのに、俺は茉那の気持ちに少しも気づいていなかった。


だって、茉那はいつも素直で可愛くて……

どちらかと言うと放っておけない妹みたいな存在だったから。


茉那は立ち上がると、ベンチに座ったまま困惑している俺の前に立った。

茉那に返す言葉を捜している俺を、彼女が切ないけれど、とても真剣な目で見つめる。

戸惑い気味にその目を見つめ返すと、茉那が俺の頬に手を伸ばしそっと触れた。


そしてほんの少し身体を前かがみにすると、俺に顔を近づけてくる。


「ま……」

茉那の名を呼ぼうとしたとき、唇に柔らかいものがそっと触れる。

それは俺の唇から少しの体温を奪ってすぐに離れた。


それが離れて初めて、今触れたものが茉那の唇だったことに気付く。

驚いて顔をあげると、真っ赤になった茉那の顔が至近距離にあった。