「あ、悪い。今のはちょっと独り言みたいなもんだから、気にすんな」

はっとした俺はわざと明るい声を出すと、悲しそうな顔をする茉那の肩をぽんと叩く。

すると茉那は悲しそうな表情のまま、顔を上げて俺を見つめた。


「真宏。それって、奏葉のこと?」

「え……」

茉那に核心を突かれてドキリとする。

ぴくりと唇を微かに動かした俺を見て、茉那が哀しそうな目をして笑った。


「やっぱり、真宏は奏葉が好きなんだね」

「何で……」

俺が戸惑っていると、茉那の瞳が切なく揺れた。


「それくらいすぐにわかる。あたし、ずっと真宏のこと見てたから」

俺が返す言葉を失っていると、茉那が切ない目で真っ直ぐに俺を見つめた。


「知らなかったでしょ?あたし、中学のときからずっと真宏のこと好きだったんだよ」

「茉那……」