何気なく入ってきたこの公園は、小さめのブランコがひとつあり、その上に街灯がひとつ付いていて、奏葉が母親とよく行っていたという近所の公園と造りが似ていた。
ブランコでは幼稚園くらいの小さな女の子とその母親が遊んでいる。
奏葉と彼女の母親もあんな感じだったのかな。
向こうに見える親子を見つめながら、ふとそんなことを思った。
だけどすぐに、そんなことを思った自分に苦笑いする。
考えてみると、俺は最近奏葉のことばっかりだ。
愛想のない嫌な女だと思っていたのに、いつの間にか俺は奏葉のことをもの凄く好きになっていた。
強がっていても本当はとても弱いところ。
ときどき見せる、はにかんだような笑顔。
奏葉の新しい一面を見つけるたびに、俺は彼女に惹きつけられる。
だけどきっと奏葉は、俺と同じように俺のことを思ってはくれないだろう。
俺がどれだけ奏葉に近づこうとしても、彼女はきっと俺を拒絶する。