「真宏、何だか必死だったから。ちょっと気になって……」

俺は茉那に笑いかけると、心配そうに見上げてくる彼女の頭をぽんと軽く撫でた。


「別に大したことじゃないよ。一緒に帰る?」

誘いかけると、茉那は嬉しそうに笑って大きく頷いた。


学校を出た俺たちは、ぶらぶらと歩きながら駅に向かった。

その途中で自動販売機を見つけた俺は、何気なく茉那に声を掛ける。


「なぁ、喉渇かない?」

「そうだね、少し」

茉那がそう答えたので、俺は自動販売機に近寄って缶ジュースを二つ買った。


「そこで飲んでくか」

俺は缶ジュースの一つを茉那に手渡すと、駅の近くにある公園を指差す。

茉那は俺からジュースを受け取ると、やけに大事そうにその缶を両手で包んで俺のあとをついてきた。

公園に入ると、俺たちは入り口の傍にあったベンチに座った。

そして、特に会話することもなくジュースを飲む。