「少なくとも俺は好きだよ、月島さんのこと。彼女がどう思ってるかは知らないけど」
蒔田が俺に爽やかな笑顔を向ける。
「これで答えになったかな?」
蒔田は笑って首を横に傾けると、挨拶をして俺の前から去っていった。
『少なくとも俺は好き』
蒔田は奏葉と付き合っているかどうかを明確には答えなかった。
でも蒔田の言い方からすると、二人は付き合っているわけではないのかもしれない。
俺は蒔田の言った言葉の意味を考えながら、ぼんやりと下駄箱へと向かった。
靴を履き替えて校舎を出ると、外はもう暗くなり始めていた。
校門の方へとダラダラ歩く。
門を抜けようとしたとき、俺は門の横の外壁に凭れかかっている茉那を見つけた。
「茉那?」
驚いて声を掛けると、俯いていた茉那がぱっと顔を上げる。
「真宏」
顔を上げた茉那は、俺を見るとにっこりと笑った。
「奏葉、見つかった?」
「あぁ、もしかして気にかけてくれてたのか?」
茉那が小さく頷く。